「 お年寄りの【めまい】 」
仲野耳鼻咽喉科 仲野 紘介 医師 
 

 めまいの原因は、めまい、難聴、耳鳴が同時に起こる耳が原因の場合と、頭位変換や体位変換によって起こる脳への血流が悪い場合とがあります。「めまい」の代表的な病気は、耳に原因のあるメニエール病ですが、高齢者にはメニエール病は極めて少ないようです。

 お年寄りの「めまい」は、頭位や体位の急な変換の時によく起こります。頭位変換による「めまい」は、寝たり起きたりしたときや頭部を前屈したり後屈した時に起こりやすくなります。その時の「めまい」は、ぐるぐると回る回転性であったり、ふわふわと揺れるように感じる浮動性であったりします。
これは頭位変換めまい症と診断され、耳が原因の病気です。体位変換による「めまい」は、夜中や早朝に立ち上がったときに突然に起こり、回転感と同時に目の前が真っ暗に感じたりします。
これは体位変換に伴う脳血流の障害によって脳底動脈への血流不全や起立性低血圧(特に高血圧治療中のもの)が原因と考えられます。これらの「めまい」の持続時間は、数秒間から数十秒間の一時的(一過性)ですが、突然に起こるので大変な恐怖と不安におそわれます。
 どんな病気でも、病院に行くといろんな検査が行われますが、高齢者の「めまい」は検査では異常な検査結果が発見され難く、診断には医師の詳細な問診と経験が極めて重要な要素となります。
 
 「めまい」が起これば、まず耳鼻科の受診が必要ですが、高齢者の場合では循環器疾患、糖尿病、甲状腺病と一緒に「めまい」が起こる場合が度々ありますので、それぞれの専門科への受診をお勧めします。
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