白内障は、80才までに、ほぼ100パーセントの人がかかる目の病気で、眼内のレンズ(水晶体)が混濁(こんだく)するために起こります。
最初は光が眩しい、色がくすんで見えるなどの軽い症状から始まりますが、進行すると視力が低下し、日常生活も困難となります。手術が最も確実な治療法ですが、いつ手術するのかが問題になります。
最近では、ご高齢の人でも車の運転、パソコンの操作が当たり前の時代です。免許の更新で視力が足りないと言われた、パソコンをすると目が疲れて困る、ゴルフ、ゲートボールが下手になった、絵を描くと色が変だと言われたことなどが、ご高齢者の眼科受診の主な理由です。
「運転免許の更新が出来ないと、生活が出来ません」とおっしゃる人が多いので、直ぐに手術の準備にかかります。運転免許には無縁の人でも、矯正視力(メガネをかけての視力)が0.4以下になると、新聞、テレビが見えにくくなりますので、この時期には手術が必要です。
視力は良くても、絵が下手になった、左右の視力が違うのでゲートボール、ゴルフが下手になった、運転が危ないなどの理由で、手術を希望される人もおられます。眼科医は魔法使いではありませんので、手術をして、絵がうまくなったり、ゲートボールが強くなったりする保証は出来ません。良く相談して、ご希望を聞いて、手術のリスク(医学はまだ完全ではありませんので、当然危険性を伴います)をご理解頂いたうえで、手術を考える事になります。
一方、視力が良くて自覚症状が無くても、手術が必要となる、恐ろしい例外があります。水晶体が混濁し、そして膨張して、急性緑内障を来す場合があります。時に、視力は保たれたままで、水晶体が膨張し急性緑内障を起こして急激に失明します。この予防のためにも、白内障の方は定期健診が必要となります。
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