「 うつ病」
村上クリニック 村上 啓二 医師 
 
  うつ病は、最近よく「心のかぜ」といわれます。この意味を理解するには、2つの視点から考えれば分かりやすいでしょう。

  まず第一に、「うつ」は普通に生活していても、誰でもかかりうるという事です。「かぜ」が、疲れて抵抗力が低下した時にかかってしまうように、「うつ」も、精神的な疲労が重なり、活動と休息のバランスを失った時にかかってしまいます。「気が弱いから」とか「普段の行いが悪いから」うつになるといった考えではなく、誰でもなりうる身近な病気と考えるべきでしょう。

  「かぜ」は、様々なウイルスや細菌が原因となりますが、「うつ」も様々な原因から起こり、百人のうつの人がいれば、その原因は百通りあります。それぞれの原因に応じたカウンセリングと、その人に合った適切な薬物療法が必要となります。薬物療法としては、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などが使われます。

  第2に、「うつ」は、「かぜ」と同じように、治る病気であるということです。「うつになったらもう終わりだ」などと思わずに、「必ず治る」と信じ、希望を持って「うつ」に対抗したいものです。但し、「かぜ」もこじらせば恐いように、「うつ」も長びいたり、なかなか治りにくい場合もあります。日本で、年間約3万人もの自殺者がいますが、その6〜7割はうつが原因といわれており、この現実に目をそむけるわけにはいきません。

  「うつ」になったら、あせらずじっくりと治療を続け、無理はせず、又、思い切って仕事や活動は、しばらく休むという勇気も必要となるでしょう。
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