耳慣れない病気の名前だと思いますが、読んで字のごとく「活動しすぎる膀胱」という疾患概念で、国際(尿)禁制学会という組織が中心となり世界的に見直された症候群です。
具体的には、「尿意切迫感を必須とする症状症候群で、切迫性尿失禁のある無しにかかわらない」とされています。つまり頻尿や夜間頻尿を伴う尿意切迫症状ということになります。
日本では、「排尿回数が1日8回以上で、かつ尿意切迫感が週1回以上自覚される人」を、過活動膀胱として統計調査を行い、日本排尿機能学会が2003年に発表していますが、年齢と共に有病率(その病気にかかっている割合)が上昇し、80歳以上では男女合わせた平均で36.8%、40歳以上の全ての平均では12.4%となっています。
これは日本の人口を考慮し、計算すると、実に800万人となり、当時の糖尿病人口の780万人よりも多い結果となりました。(ホンマかいな?)
もちろん、尿意切迫感を自覚する人の中にも膀胱炎をはじめ、他の病気が原因であることもありますので、尿検査を含めきちんと判断しないといけませんが、他に考えられる病気が原因として存在しない場合に最終的に過活動膀胱として治療を行うことになります。
治療としては、過活動膀胱が定義される前から、頻尿や尿失禁に対して膀胱の排尿筋(尿を押し出す筋肉)への神経伝達をブロックする薬が使われていましたが、過活動膀胱の概念の確立にあわせて、昨年あたりから、より膀胱に対して選択的に効果を発揮する新薬を各社出しており、今後も増える予定です。
また、神経に働く薬以外にも例えば漢方薬でも高い効果が得られる場合もあります。
「しもの病気で恥ずかしい」とか思わずに一度ご相談ください。糖尿病よりもたくさんの人が悩まれている症状ということなので。 |