日常診療における貧血症
こだまクリニック 児玉 和也 医師 
 
 貧血症は日常診療でよく遭遇する病態ですが、原因がすぐに判明しないこともよく経験されます。

  外来で貧血の原因を調べる場合には、平均赤血球容積(MCV)値(ヘマトクリット値を赤血球数で割った値、正常値90〜100 fl)が参考になります。MCVが小さい貧血は小球性貧血で、代表的な疾患は鉄欠乏症貧血と鉄芽球性貧血です。

  鉄欠乏症貧血はもっとも頻度の多い貧血症で、多くは慢性的な出血によって引き起こされ、鉄剤で改善しますが、女性では月経過多・高齢者では消化器悪性腫瘍・若い男性ではスポーツ貧血などが原因となることが多く基礎疾患に注意が必要です。

  鉄芽球性貧血はまれな疾患ですが、鉄の利用障害があり鉄過剰状態にありますので、鉄剤投薬では効果はみられず、ビタミンB6が有効な場合があります。

  MCVが正常な正球性貧血では骨髄で作られたばかりの若い赤血球である網状赤血球(通常10‰)を調べ、網状赤血球が増加している場合には溶血性貧血が考えられますので、クームス試験を調べ陽性であれば自己免疫性溶血性貧血、陰性であれば先天性の溶血性貧血や発作性夜間血色素尿症などが疑われますので、専門医への紹介が必要です。

  網状赤血球が極端に減少している場合には再生不良性貧血が考えられ、重症であれば骨髄移植が必要な場合があります。網状赤血球があまり増減していない場合には、不応性貧血(骨髄異形成症候群)・腎性貧血・消耗性貧血・白血病などを鑑別する必要がありますので、これも一度専門医に紹介してもらうのがよいでしょう。

  MCVが大きな大球性貧血は巨赤芽球性貧血で、多くは免疫異常によるものか、胃全摘後5年以上経過したビタミンB12欠乏によるもので悪性貧血と呼ばれるものです。

  ビタミンB12を年に3回程度筋肉注射をするか、内服であれば大量のビタミンB12の継続が必要です。その他菓酸欠乏症、慢性肝疾患などがあります。
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