くすりは毒と同じようにごく少量で人体に影響を与えるため、くすりを飲むこと自体を怖がる方がおられます。しかし、ただリスク(危険性)を怖がっているばかりでは人類の英知の結晶ともいえるくすりも無駄になってしまいます。くすりをうまく利用すればリスクも減らすことができます。
医者から出されるくすりは、目的に応じて病気を治すためのくすり、病気に付随する症状を抑えるくすり、病気の悪化や進行を防ぐためのくすり、などがあります。今飲んでいるくすりがどういうのもかをまず知っておくのもうまく利用する上で大切なことです。
次に大切なことは使い方(用法、用量)を知って、それを守ることです。くすりは開発段階で効能を最大にリスクは最小になるようにしていますので、大抵の場合使い方を間違っても重大なリスクが生じないようにはなっていますが、常にリスクはあるものです。医者は患者の病気がなにであるかを判断し、適切なくすりとその使い方を決めなければなりません。一方、患者はそのくすりの意味を知り、使い方を守って飲むことが大切です。この医者から患者へのやりとりだけで十分かというとそうではありません。医者は患者がくすりを飲んだ結果、どのようになったかを知る必要があります。そのために、患者の症状の変化を聞いたり、ときには検査をしたりします。この双方向のやりとりを繰り返すうちに、最もリスクの少ないくすりとその使い方に至るわけです。
このようになれば話は簡単ですが、実際はこのようにうまくはいきません。その原因の多くは使い方を守ってくすりを飲むということが難しいことにあります。このような場合でも、患者のくすりを飲んでいる状況を医者が知ることはできればリスクを回避することができます。
話が少しそれますが、医者からくすりを貰ってもそれが医者の収益に結びつかない仕組みになっています。このことは一般にはあまり知られていません。
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