突然胸が痛くなりおさまらないときに最初に思い浮かべる病気が急性心筋梗塞です。急性心筋梗塞は心臓を養っている冠動脈が血栓(血液のかたまり)でつまると発症し、すぐに治療を受けないと心筋の一部は死んでしまいます。急性心筋梗塞の死亡率は、近年カテーテル(細い管)などを使ってつまった冠動脈を再開通させる再灌流療法(さいかんりゅうりょうほう)などの治療法の発達で著しく改善しており、特にCCU(冠動脈集中治療室)などの専門施設に収容された患者さんの死亡率は低下してきています。
しかし、発症後二時間以内は最も死亡する危険性が高く、この時間帯の死因の大多数は致死性不整脈である心室細動(しんしつさいどう)といわれています。心室細動は除細動器(じょさいどうき)で救命可能であり、再灌流療法も発症から早ければ早いほど有効なので、発症後いかに早く専門施設(洲本市の場合は県立淡路病院)に入院できるかが心筋梗塞で命を落とさないための鍵といえます。
突然胸がしめつけられるように痛む、また胸に重いものが乗ったように苦しい、冷汗が出て、気分が悪くて吐いた。このような症状が続くときは、(すべてにあてはまらなくても)急性心筋梗塞の可能性が高いので、すぐに救急車を呼んで下さい。痛みの程度は、死の恐怖を感じるほど強いことが多いのですが、強い痛みでなかったり、ときにはまったく痛みを感じなかったり、痛みが強くなったり弱まったりすることもあります。また胃が痛い、顎が痛い、左肩が痛いと感じたり、お年寄りではなんとなく体がだるいとしか感じないこともあります。このような時もすぐに医療機関を受診するようにしてください。 |